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ネットスターズは、世界に5つの拠点があり、中国支社は大連と北京にオフィスがあります。2024年2月末に、日本から大連オフィスを訪ねた日本人社員が体験した、現地の「スマホがなければ生活できない」キャッシュレス決済事情をレポートします。
2024年2月時点で、日本人が中国へ入国するためにはビザの取得が必要です。渡航目的によって必要なビザは異なり、企業出張の場合はビジネスビザが必要です。ビザの申請はオンラインで行えますが、家族情報を含む多くの個人情報の入力が必要で、国境を越える大変さを実感します。
中国はスマホが社会インフラとして普及した国です。現金で支払ってもおつりがないのは当たり前、キャッシュレス決済でないと対応してもらえないことも多いと聞きます。外国人/短期滞在者が紙幣を出したら嫌がられそうな気がします。
2大スマホ決済「WeChat Pay(微信支付)」「Alipay(支付宝)」が短期滞在者でも利用できるようにサービスを始めたと聞き、通信環境も確実で、なんらかの資料が必要な場合でも対応できる出国前に 事前登録を行いました。
WeChatは、日本のLINEのように友達同士が個人やグループでチャットを使ってやりとりするSNSサービスです。そのウォレット機能が「WeChat Pay」です。
WeChat Payを開くと、「銀行カード」の部分で決済に利用するクレジットカードを紐づけることができます。案内に従ってクレジットカード情報を入力し、ウォレット機能にクレジットカードが追加されたことを確認して、登録を完了します。
中国でECモール「タオバオ」の支払いツールとして始まった「Alipay」。Alipayは短期滞在者向けに「Tour Card」というアプリ内サービス(ミニアプリ)を展開しています。これは、Alipayにクレジットカードを登録し、そこからTour Cardにお金をチャージして利用するサービスです。旅行者用のため、利用の有効期限があり、期限を過ぎると未使用分のチャージ金額はクレジットカードを通じて払い戻されます。
設定のためにAlipayアプリのなかのサービスであるTour Cardを開くと、まずはパスポートの個人情報ページを含む、情報登録が要求されました。指示通りにパスポートの画像を送って運営側の承認を待ちます。1~2日後にアプリを再度開いて承認を確認できたら、クレジットカードや納税番号(筆者はマイナンバーを利用)を登録して晴れて利用できるようになります。
承認を待って、Tour Cardには500元をチャージして利用に備えることにしました。 なお、本来Alipayは中国の身分証情報がないと利用できないのですが、TourCardを登録することで渡航者もAlipayアプリで決済が使えるようになる連携機能があります。この連携機能のおかげで、滞在中は現地の人と同じようにTour Cardではなく、Alipay本体の支払い機能を使って買い物をすることができました。
現地で気が付いたのが、Tour Cardは利用者が自分のQRコードを店舗に提示して読み取ってもらうことはできるものの、スマホのカメラ機能とは連携していないため、店舗のQRコードを読み取るタイプの決済では利用できないということ。大連では店舗のレジに貼られたQRコードを読み取って決済することが多く、TourCardではなくAlipay本体支払い機能をつかい、QRコードを読み取ってクレジットカード決済を行っていました 。結果、Tour Cardの出番はほとんどなく、事前にチャージしたお金もなかなか減りませんでした。
大連に無事について、まず地下鉄に向かいます。駅の隅に、自動販売機のような無人図書館が目に入りました。この図書館も本を借りるのにはQR読み取りが必要なようです。同行する現地の人に「中国人は本でもなんでもスマホで読むので、ここで本を借りる人は少ないですね」と言われてしまいました。
地下鉄のチケットは1回分をAlipayで購入しました。現地の人は地下鉄乗車専用のスマホのアプリのQRコードをかざして入場していて、券売機も1台しか見当たりません。
古くからの中心地「中山広場」を回り、寒くなってショッピングセンターでカフェに寄ります。注文はテーブルのQRコード読み取りでモバイルオーダーができ、最近普及しはじめたAlipayの顔認証での支払いにも対応しています。あらかじめ支払い用に顔を登録し、顔証用の端末の前に立って顔をうつすと支払いができます。
その後、中国で人気のCHAGEEというカフェにも立ち寄りました。大連のカフェでは、温かい飲み物にストローをさして飲むのが流行っているようです。ストローで飲んでもやけどしないように、コーヒーはぬるめでした。
ショッピングセンターをぐるりと回ると中国が力を入れている分野が見えてきます。まずは自動車。国産のEV車が至るところで展示・販売されています。携帯電話で有名なファーウェイ(HUAWEI)のショールームもそのひとつ。携帯電話はごく一部で、家電や自動車が展示され、取り扱い製品の幅広さを感じられます。街なかでも、充電ができる駐車場があちこちにあり、EV車の普及度合いがわかります。
ショッピングセンターのゲームセンターに人が集い、疲れを癒すマッサージ機が置かれているのは日本と同じですが、利用する方法が異なります。日本では、無人サービスにはコインが欠かせず、両替機が近くに設置されているのがおなじみの風景。しかし、中国ではこれらの利用にコインは不要です。
スマホでQRコードを読み取りWeChatPayもしくはAlipayのミニアプリを通じてお金を支払い、機械を操作します。無人サービスはスマホでメニューを選び、キャッシュレスで支払うのがスタンダードなのです。
立ち並ぶオフィスビルの入り口横には、ロッカーが設置されています。これは、デリバリーの受け取りに使うためのものだそうです。もっとも混雑するのがランチ時間帯。配達員が、ロッカーに貼ってあるQRコードを読み取って開錠し、デリバリーした食べ物などの商品を中に入れてドアを閉めると、購入者のスマホアプリに商品到着が通知されます。
オフィス生活に欠かせないのが、スマホ対応ロッカーなのです。
ほんの短い滞在でしたが、生活のすべてがスマホとQRコード決済に結びついていることを感じた中国・大連でした。これから中国へ渡航する方は、WeChat PayとAlipayをご自身のスマホに入れ、クレジットカードを忘れず紐づけておくことをおすすめします。
*本内容は公開日時点の情報です。