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キャッシュレス決済やDXサービスを展開するネットスターズは12月6日、取引先の皆さんをお招きし、決済とDXをテーマとしたビジネスカンファレンスを開催しました。合計5つのセッションが、それぞれ活況のうちに終了しました。
本記事では、「StarPay-Order導入による店舗DX」をテーマに、イオンエンターテイメント経営戦略本部IT推進部部長木村圭さんと、ネットスターズ執行役員兼事業統括本部ソリューション事業部長の梅元建次朗が登壇したセッションの様子をお伝えします。
梅元 ネットスターズが支援する店舗DXは、主に飲食や小売店舗が抱える2つの課題を解決できます。ひとつは人手不足、そしてもうひとつは売上を伸ばしたいという課題です。これら2つの課題を一挙に解決するソリューションが“StarPay-Order(スターペイオーダー)”です。
StarPay-Orderには店舗に設置するタッチパネル式のキオスク端末と、お客様のスマホを使うモバイルオーダーの2つのタイプがあります。タッチパネル式のキオスク端末では、来店されたお客様が画面を見ながら自身でメニューを選んで注文して、センサー部分にスマホをかざしたりクレジットカードを読ませたりして決済し、注文番号が書かれたレシートを受け取ります。
一方、モバイルオーダーでは、お客様がテーブルでスマホを使ってオーダーと決済をすると、注文番号が表示されます。いずれのタイプも、番号が店内のディスプレイに表示されたら、お客様自身が商品を取りに行くという流れです。
注文や決済する際の表示は多言語に対応しており、海外からのお客様にも対応ができます。もちろん、QRコード決済のほか各種電子マネー、クレジットカード、現金とさまざまな決済手段に対応しています。
また、注文データや提供までの時間などのデータが蓄積されていくので、PDCAを回しながら店舗の運営改善やマーケティング、商品開発に活かしていくことも可能です。
次に、StarPay-Orderの具体的な効果を説明します。これまで、フードコードやファストフードチェーンなどの業態では、注文を受けて会計をするレジ担当と、キッチンの調理担当と、できた商品をお客様に渡す受け渡し担当を配置する必要がありました。StarPay-Orderを活用すれば、注文と会計はお客様に自らやっていただくことになります。注文を受けると厨房に設置される端末にその情報が表示され、厨房のスタッフはそれを見て調理を始めます。スタッフは調理とお客様への受け渡しに集中できるので、省人化と業務効率化が実現するというわけです。
梅元 また、飲食店や映画館、テーマパークなどでは特定の時間にお客様が集中し、長い行列ができてしまうという課題があります。行列ができると一定数のお客様は並ぶのをあきらめてしまうため、売上の機会損失が出てしまいます。
キオスク端末は小型なので、狭いスペースでも台数を5台、10台と増やせますし、モバイルオーダーであればお客様はそもそも並ぶ必要がありません。このため、StarPay-Orderの導入によって行列を解消し、売上の機会損失を減らすことができます。
フードコートでの活用のお問い合わせが多いものの、ホテルの引き合いも増えています。ホテル内の売店は24時間オープンさせておくのが理想ですが、こうしたセルフ注文端末を活用すればスタッフを配置する必要がなく、24時間営業の無人売店が実現します。朝食の時間帯にホテル内レストランの来店客が集中してしまうという課題も、レストランの外であらかじめ注文してもらい、順番が来たら席に案内してスムーズに朝食を取るというように解決することもできると考えます。
それではここからは、実際にStarPay-Orderを導入し活用していただいているイオンエンターテイメントの木村様にお話をいただきます。まずは簡単に、イオンシネマのご紹介をお願いします。
木村 イオンエンターテイメントはイオングループの一員で、全国でイオンシネマという映画館を運営しています。23年12月6日時点で全国に95劇場、813スクリーン、 座席数は15万弱と、国内最多の座席数を持つ映画館のチェーンです。
梅元 23年6月に全国8つのイオンシネマでStarPay-Orderを導入いただきましたが、その狙いと背景についてお話しいただけますか。
木村 当社が一番に考えたのは、お客さまをお待たせしないということです。映画館では上映の直前に売店にお客さまが集中する傾向があり、ピークタイムとアイドルタイムを1日に60回ぐらい繰り返しています。当社としてはお客さまに、ポップコーンなどのフードやドリンクも含めた楽しい映画体験を提供したいのですが、行列を見て購入をあきらめてしまうお客さまがいらっしゃることにはとても申し訳なく思っていました。
さらに、現金だけではなく決済手段を拡充してお客さまの利便性をアップし、キャッシュレス利用を増やして現金管理の負担を軽減させる目的もありました。
梅元 導入までにどのようなご苦労がありましたか。
木村 第1号となったイオンシネマ幕張新都心 の導入は23年6月1日で、社内で導入の承認を取ったのが3月中旬だったので、とにかく時間がなかったことが大変でした。ネットスターズさんが頑張ってくださったおかげもあり、なんとか3か月弱という異次元のスピードで導入にこぎつけました。タイトなスケジュールでの準備は大変でしたが、それに比べれば導入後はオペレーションも劇的に改善されましたので、大きな苦労は無かったと思います。
梅元 ありがとうございます。当社のほかにも候補のベンダーはあったそうですが、期限内に導入できるのは当社だけだったとうかがいました。
木村 そうなんです。スピード感はもちろんですが、当社グループの決済サービスであるAEON Payや電子マネーWAONに期限内に対応できたのもネットスターズだけで、本当にありがたかったです。
梅元 ありがとうございます。StarPay-Orderを導入されて、具体的にどのような効果が出ていますか。
木村 まさに狙い通りの効果が出ています。まず、映画を観に来店されたお客さまが売店に立ち寄る立ち寄り率は、未導入劇場との比較で、昨年同月からの伸び率に6%以上の差が見られました。
そもそも売上をアップさせるには、来店客数を増やすか客単価を上げるかのいずれかになります。客単価を上げるのは人気作とコラボした高単価商品などがあれば難しくないのですが、立ち寄り率を上げるのはとても難しいことは、過去30年の取り組みからもわかっています。それが、StarPay-Orderの導入で立ち寄り率が一気に向上したことは、社内でも驚きを持って受け止められました。
また、フードやドリンクを提供するまでの時間が40%削減される効果も確認できました。そもそも提供時間は、これまで自動で測定できるしくみがなくストップウォッチで測っていましたが、StarPay-Orderでは自動で正確にデータが取れるようになっています。
最後に、キャッシュレス比率も2割アップしました。これはStarPay-Orderの導入を機にQRコード決済を新たに追加した効果だと思っています。劇場によっては3割近い伸びを示したところもあります。
梅元 ありがとうございます。この立ち寄り率の6%アップというのは、未導入劇場も伸びている中での伸び率の差なので、これはすごい効果だと思っています。
それでは最後に、今後StarPay-Order とネットスターズに期待することをお聞かせください。
木村 人気のある映画館の売店に行列ができるのは仕方ないと諦めているお客さまも多かった中で、StarPay-Orderを導入した劇場では注文の行列がほぼなくなりました。映画館の常識を覆したという点で、StarPay-Orderの導入は画期的なことだったと改めて感じます。
今後の要望としては、当社のような多店舗展開をしている導入先向けの機能を充実させてもらえるとありがたいと思います。たとえば、本部機能を拡充したり、本部と劇場とのアカウント権限を柔軟に変更できるような機能が追加されるといいですね。導入後もネットスターズさんとは定期的にミーティングをして要望も出していますが、すでに実現しているものも多く、大変頼もしく感じています。今後も連携を密にして、サポートいただきながらより良いシステムにしていきたいと思います。
梅元 ありがとうございます。本日は当社のStarPay-Orderの話ばかりになってしまいましたが、イオンシネマ様ではこのStarPay-Orderの効果を最大化するためにスタッフの皆さんがピークタイムが終わるごとにオペレーションの改善点やアイデアを出し合って、効果を向上させていったという経緯があることも補足しておきたいと思います。
当社でも現場の皆様の意見に耳を傾けながらStarPay-Orderを磨き上げ、より効果の高いソリューションに成長させていきたいと考えています。今後とも引き続き、よろしくお願い申し上げます。
*本内容は公開日時点の情報です。