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中国の金融取引のデジタル化推進に大きく貢献した「QRコード決済」は、東南アジアの国々でも同じように拡大しています。現金が中心だった日々の支払いや送金がスマートフォンを使った電子決済に置き換えられ、やり取りがスムーズかつ安全になると同時に、それを利用した新しい周辺サービスや金融サービスが日々生まれています。
PromptPay(プロンプトペイ)はタイの国家成長戦略の一環として2017年に開始した電子決済システムです。特徴としては、PromptPayに参加する複数の銀行が共通して利用できる点が挙げられます。PromptPay対象銀行の口座を持つユーザーであれば、誰でもその銀行のアプリを介して、QRコード決済、送金ができます。登録には携帯電話番号(もしくは国民ID番号)、銀行の口座番号が必要で、それらを紐付けることで利用できます。
使い方は、お店が提示するQRコードを、ユーザーが銀行アプリで読み込み、必要な金額を入力して支払いを行います(日本では銀行アプリ上にQRコードを表示し、お店が読み込む方式です) 。オンラインショッピングでの支払いにも利用でき、サイトに表示されるQRコードを銀行アプリで読み込み、支払います。また、従来は時間とコストがかかっていた送金も、銀行アプリで相手先の電話番号を入力するだけで、安価な手数料で行えます。
PromptPayの勢いを示すデータとして、2021年時点でのPromptPayのID登録数が6,860万件(タイ中央銀行調べ)で、同年のタイの人口が6,617万人※1ですから、一部重複を考慮してもかなりの割合がPromptPayのユーザーであることがわかるかと思います。
すでにタイの主要銀行のほとんどはPromptPayに対応しており、ショッピングモールにあるような店舗以外に、露店やタクシー、BTS、寺院など、地方都市でもほとんどの場所で利用できます。PromptPayの1回あたりの支払い上限は50万バーツ (約200万円。2023年3月時点のレート:1バーツ約4円)のため、PromptPayさえあれば外出先での支払いには困らない状況です。尚、日本におけるタイのQRコード決済の支払い上限は、1件10万バーツ、1日50万バーツ(2023年3月時点)です。
PromptPayを導入する加盟店側にとっては、ユーザー数が多く、クレジットカードに比べて手数料が安く抑えられているため、導入するメリットが大きく、これがPromptPay拡大に繋がっています。
※1 出典元:タイの人口6,617万人、首都が全体の8.3%/NNA ASIS
https://www.nna.jp/news/2289264
順調に広がるPromptPayの次のステップは利用対象国の拡大です。
タイ中央銀行は、カンボジア、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどの東南アジア諸国連合(ASEAN)において国をまたぐクロスボーダーQRコード決済連携を図っています※2。連携により、自国で使っている決済サービスが訪問先の国でもそのまま利用できると、利便性が格段に向上し、経済活動がより活性化すると考えられています。
送金の面では、タイ中央銀行とシンガポール通貨金融庁(シンガポールの中央銀行に相当)の間で、2021年4月より連携を開始しています※3。タイはPromptPay、シンガポールはPayNowで、送金先の携帯電話番号だけで両国間で送金できます。通常の送金手続きに必要な受取人氏名や銀行口座情報などの入力が不要で、送金にかかる時間は大幅に軽減されました。
※2 出典元:PR Thai Government
https://www.facebook.com/thailandprd/posts/448348727327943
※3 出典元:タイのプロンプトペイ、シンガポールのペイナウと連携開始/JETRO
https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/05/cd480fbb6f385298.html
ASEAN諸国で進む、クロスボーダーでの決済・送金サービスの連携。ASEAN諸国からの訪日観光客は今後一層増加が見込まれるため、各国から日本の対応も注目されるかもしれません。
ネットスターズは、昨年より日本国内におけるPromptPayでのQRコード決済に対応し、多くの店舗にご利用いただいているほか、ベトナムのQRコード決済サービスを日本に初導入するなどアジア各国のQRコード決済に対応を拡大しています。
【取材協力:アユタヤ銀行様】
*本内容は公開日時点の情報です。