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QRコード決済をはじめとするキャッシュレス決済やDXサービスに加え、訪日外国人客向けインバウンドマーケティング支援サービスを展開するネットスターズは、このほど一般社団法人日中ツーリズムビジネス協会が開催するウェビナー「データから見るインバウンド最新情報 ~デジタル決済導入事例と地域の取り組み~」に登壇しました。本記事では、ウェビナーに登壇した、事業統括本部 ソリューション事業部コンサルティングセールス部 プロモーションT 山田 祐也の講演内容をお届けします。
まずは、インバウンドの現状からご紹介します。コロナ禍の入国制限の緩和が強く意識されるようになった2023年から、訪日外国人数と旅行消費額は大きく回復していて、2024年に入ってからは毎月のように過去最高記録を更新する状態が続いています。
旅行消費額の内訳をみると、中国、台湾、韓国と東アジアからの旅行客が上位にあり、このトップ3でほぼ半分を占めている状態です。訪日客1人当たりの消費金額の上昇幅は鈍化傾向にありますが、訪日旅行者数が増えているため、旅行消費額が連動して伸びています。インバウンドマーケティングを考えるなら、まずはこの3つの国と地域にターゲットを絞るのが効率的といえます。
政府もインバウンド対応への支援には力を入れていて、観光庁の関連予算も急拡大しています。多言語対応やキャッシュレス決済などオペレーション改善目的のICT活用に対する補助金のほか、日本の魅力を知ってもらうための施策などの予算も大きく伸びています。特に2024年度のICT等を活用したインバウンド受入環境整備の高度化事業の補助金は、前年度の約6.6倍に急伸し、デジタル化を検討する事業者にとっては大きな追い風です。インバウンドは今や日本の経済成長をけん引する主要産業のひとつとなっており、関連予算が拡大していく傾向はしばらく続くのではないかと思います。
出典:観光庁
市場の拡大が急激であるために、十分な対応ができていない事業者の方も多く、現場では様々な課題も生じています。最も深刻なのは人手不足で、さらには多言語対応や訪日客を集客したいがマーケティングの方法がよくわからないという悩みも多く聞きます。また、訪日客に対応した決済手段の提供ができていないことによる機会損失も、大きな課題として挙がっています。
ここからは、事業者の方々が抱えるこうした悩みの解消につながる情報を紹介します。インバウンドマーケティングは、海外に住む人がどのようなプロセスを経て来日し、購買にいたるのかを時系列に整理した「カスタマージャーニー」を理解するのが第一歩です。行き先を決める「プレ旅マエ」、日本での具体的な行動を計画する「旅マエ」、旅行中の「旅ナカ」、そして帰国してからの「旅アト」の4つの段階に分かれており、それぞれのタイミングに応じたユーザーインサイト(ユーザー自身も気づいていない本質的な欲求)を整理し、情報を届ける方法を精査していくことが求められます。
実際に日本を訪れる人たちがどのように情報収集しているかというと、訪日トップ3である中国、韓国、台湾いずれの観光客もSNSや動画サイト、個人のブログといった情報源を活用しています。とはいえ、国によって使われているSNSや動画サイトは違うため、マーケティングの手法や媒体はターゲットに応じていく必要があります。
たとえば中国の場合、“中国版インスタグラム”といわれる「小紅書(RED)」というSNSが存在感を増しています。REDの月間ユーザー数は2.6億人に達しており、画像や動画を伴う情報を閲覧できるインスタグラムと同様あるいはそれ以上の幅広い機能を有しています。私たち日本人にとっても、旅行先の情報収集のためにインスタグラムにアクセスするというのは自然な行動ですが、中国でも同様というわけです。
REDはユーザーの女性比率が高く、高収入、高消費、高学歴のユーザーが多いのが特徴で、訪日意欲の高い層にリーチしやすいというマーケティング上のメリットがあります。
ネットスターズでは、2024年前半に「#日本旅行」というハッシュタグがついた投稿の視聴回数と反応を独自調査しました。入国規制の緩和で日本への関心が回復してきた2月ごろから視聴回数が増加し1億を突破、そこからは視聴回数もそれに対する反応も大きく上昇しています。一般的に中国向けのプロモーションはREDが強いと認識されており、実際のデータからもそれが裏付けられていることがわかります。
次は、インバウンド促進施策による効果を調べた調査結果をご紹介します。
JTBコミュニケーションデザインが自治体職員を対象に行った調査によると、「外国語対応のウェブサイトや観光案内所の設置」、「オンライン広告やSNSを活用した情報発信」、「外国人旅行者向けのキャンペーンや割引サービスの提供」に効果があったという結果が出ています。これらの施策はインバウンドマーケティングの定石とされており、実際効果があり、検討する価値は十分あることがわかります。
それでは、具体的にどのようなインバウンドプロモーションが効果を発揮するのか、ネットスターズの事例を紹介します。
まずは中国を対象としたREDを使ったインバウンドプロモーションです。プロモートしたい分野にフィットする、中国で影響力のあるインフルエンサーを選出し、関連するハッシュタグを準備の上、インフルエンサーより発信してもらうのが最もオーソドックスな方法です。百貨店で実施した際は、店名のハッシュタグに加え、「日本 ショッピング」「大阪 ショッピング」といったキーワード検索で、上位にインフルエンサーによるプロモーション投稿が表示されるようにし、旅マエで情報収集する方々へアプローチし、来訪を促進しました。狙った検索キーワードで、当プロモーション投稿が上位表示され、多くの方に情報を提供することが出来ました。
次にご紹介するのは、インバウンド対応の事例です。首都圏にオープンしたホテルでは、ネットスターズのセルフオーダーシステム「StarPay-Order」を導入いただきました。軽食やドリンクを提供するカフェテリアに、多言語対応のタッチパネル式のキオスクオーダーを設置し、お客様自身で注文、支払い、食券受け取りをしてもらうことで、省人化を実現しています。StarPay-Orderのセルフレジを設置した売店は、無人で24時間営業を実現しており、こちらも多言語対応のため、国内外のお客様の買い物ニーズに応えられています。
また、羽子板市として知られる浅草の浅草寺歳の市では、ネットスターズのマルチキャッシュレス決済ソリューション「StarPay」を導入いただき、露店での支払いに海外のQRコード決済7ブランド、Alipay+、WeChatPay、JKO Pay、銀聯QR、PromptPay、GLN Pay、MB BANKが対応しました。訪日観光客が日本での買い物の際に、自国で使っているQRコード決済が使えることは、利便性向上と購買促進に繋がるため、インバウンド対応施策としてとても重要です。
最後に、訪日観光客が利用する空港での事例を紹介します。ネットスターズを含む4社の開発により、中国を中心に月間13.6億人が利用するアプリ「WeChat」内のショッピングサイトで事前注文した日本国内の人気商品を、羽田空港の「HANEDA TAX FREEロッカー」で消費税免税で受け取ることができるサービスです。訪日観光客は、購入した商品を旅行中に持ち歩くことなく手ぶらで観光できるうえ、これまで有人カウンターなどで行っていた消費税免税販売手続きを完全電子化(無人)したため、日本での旅行や買い物が快適で便利になりました。中国人旅行者以外への対応も検討予定です。
宿泊施設や小売店、飲食店などの事業者様からのご相談で、インバウンド拡大を機に何かしなければと思うものの何からやれば良いのか、どのように施策を考えれば良いのか、という方も多くいらっしゃいます。ネットスターズでは、業態や課題などに応じて、インバウンド施策をトータルでご提案可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。
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